

カウアイ島滞在記 ② (←クリックしてご覧いただけます)
の続きです。
ホロホロクー・ヘイアウの西端には
Pōhaku Ho’ohanau (ポーハク・ホオハナウ) と名付けられた
Birth Stone (バース・ストーン : 誕生の石) があります。
バース・ストーンは2つあり
ひとつは、表面が平らな石で
陣痛の間、妊婦さんが横たわったり座ったり出来るように
ハラで編んだマットが敷かれ、
その上にタパ(木の皮で作る布)が掛けられていました。
もうひとつの石は
妊婦が寄りかかり、
出産の際にその背中を支えるためのものでした。
かつて、バース・ストーンの傍には
出産を終えるまで妊婦さんが滞在する場所として
草で編まれた家が建てられていたようです。
また、バース・ストーンの横には、裂け目のある大きな岩があります。
それは、Pōhaku Piko( ポーハク・ピコ : へその石 ) と呼ばれ
妊婦さんが出産を終えた後
子供が健やかに育つようにと祈りを込めて
タパで包んだ へその緒(Piko) を4日間安置するための岩なのだそうです。
へその緒を、こちらの岩の裂け目の奥に置いた後
岩の周りを石とタパで覆います。
そして、4日過ぎると
カフナ(神官・祈祷師)がタパの状態を確かめます。
もしも、タパが動かされていると
それは、へその緒がネズミに盗まれたことを意味しました。
へその緒が盗まれた場合、将来、その子は泥棒になり
盗まれず無事な場合は、
その子は身分の高いチーフになると信じられていたのだとか。
結果によって、将来に雲泥の差がついてしまうのですね。
もしも自分がここで出産し、へその緒を置くことになったら・・・
ネズミ撃退!?のために、こっそりと
岩の周りに何個ものネズミ捕りを仕掛けてしまうような気がします(^^;)
ここに住む王族やその親族が
一族の力をより一層強化するため
次の時代を担う子孫を増やそうと
一族のチーフは、
出産予定のある平民の妊婦さんに
ホロホロクー・ヘイアウで子供を産むように呼びかけました。
妊婦さんがヘイアウに着くと
カフナが出産までのお世話をしてくれました。
そして、無事に産まれた子供はヘイアウに残され
王族の一員としてカフナがお世話をしてくれました。
ただ・・・
母親はヘイアウを立ち去り
自分の家に帰らなければならなかったとのこと。
ここで産まれた子供の地位は
王族の子は「ハイ・チーフ」に、そして平民の子は「チーフ」に
王族でありながら、ここで産まれなかった子供は「平民」になるという、
そんな厳しい掟があったようです。
日本の歴史の中にも
不本意な階級観念で位置づけられた社会階級のため
貧富の差が激しかったり
戦争により、
お国のために大切なご子息を戦地へ送らなければいけなかったり
そんな厳しい時代がありました。
どの土地で暮らし、どの民族に産まれたとしても
そんな厳しい時代を生き抜いた祖先の功績で
今、こうして自分たちが生きていられるのかもしれないと
改めて感謝の気持ちを胸に、この地を後にしました。
《 続きます 》